MacBook ProをLinux化しようとした

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Homebrew Tier 3落ちの衝撃

2017年ごろに買ったMacBook Pro(A1706、TouchBar有り)がまだ動く。
メインはApple SiliconなMac StudioとMacBook Airに移行してるから、このIntelなMacBook Proが動かなくても全く困らないんだけど、せっかく動くマシンを眠らせておくのも、もったいない。
と思って久しぶりに触ってみたら、HomebrewがIntel MacをTier 3(best-effort)扱いにしていた。
これが何を意味するかというと、ほぼ全てのパッケージがソースからビルドになる。
体感で10倍ぐらい遅くなったんじゃないかな。
FFmpegとか入れようとすると割としっかり目に昼寝ぐらいできる。
ありがたい、いや、ありがたくない。

Omarchyとは

最近、気になっていたのがOmarchy
37signals(BasecampやHEYを作ってる会社)のDHH(David Heinemeier Hansson)が作った、Arch Linux + Hyprlandのセットアップスクリプト。
由来は「Omakase」(おまかせ)らしく、要するに「俺の好みで全部セットアップしといたから、黙って使え」というコンセプト。
37signalsが「3年かけて全社をOmarchyに移行する」と発表して、一気に話題になった。
Redditあたりの反応を見てると賛否両論で、
「結局ただのdotfilesでは?」「wget | bashでインストールとか危険すぎ」みたいな意見も多い。

まあ、その辺の批判は理解できつつも、自分の場合、Arch系を使ったことがなかった。
UbuntuやFedoraは何度も触ってきたから、せっかくなら新しいものを試してみたい。
メイン機じゃないから、壊れても痛くないし、興味本位で試してみることにした。

インストールから起動まで

Omarchy のインストール自体は、公式サイトの手順通りにやれば特に詰まることはなかった。
ISOをダウンロードして、USBメモリに焼き込んで押しながら起動。
5分でインストール完了。
緑色の ASCIIアートで「OMARCHY」のロゴが表示されて、その下にパッケージのインストールログが流れていく。
Hyprlandのタイル型ウィンドウマネージャが立ち上がって、見た目は確かにカッコいい。
ここまでは順調だった。

立ちはだかるTouchBar問題

問題は、TouchBarが全く動かないこと。
特に、TouchBarの左端に表示されるはずのESCキーが使えない。

そして、OmarchyのデフォルトエディタはNeovim。
ご存知の通り、Vim系エディタはESCを多用する。
Ctrl + [とか使って、頑張ってCapsLockESCにリマップする設定を書いた。

さらに、公式サイトに書いてある通り、音も出ない。
いくら開発専用機と割り切るにしても、BGM流しながら作業もできないし、通知音も鳴らない。
この辺で心が折れた。

TouchBarという「革新」の皮肉

思い返せば2016年、AppleはTouchBarを鳴物入りで発表した。
「革新的なインターフェース」「コンテキストに応じて変化するキー」「物理キーの限界を超える」みたいな触れ込みだったと思う。
そして、5年後の2021年にTouchBarを廃止。
TouchBarの裏にはT1/T2チップというセキュリティチップが入っていて、これが曲者。
つまり、Appleは「細いタッチ液晶とか、やっぱ要らんかったわ」と認めたわけだけど、問題はそこにセキュリティチップを密結合していたことだよね。
t2linux.orgというコミュニティがTouchBarのLinuxドライバの開発を続けてるけど、まだ完全じゃないし、
A1706のT1チップは、T2でもなく普通のMacでもない、一番微妙な立ち位置なので特に面倒。

当時の「革新」が、今となっては足枷になって、皮肉としか言いようがない。

中間報告

Omarchyは諦めたけど、Intel Mac延命作戦は、まだ継続中。
t2linuxのドライバを試したり、他のディストロを試したり、まだいくつか策はあるものの試すほどの体力がない。
TouchBar、ほんとに余計なことしてくれたな、という気持ちだけが残ってる。

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