経緯
端的には、Range Rover Velarの減価償却が終わった。
それだけが理由と言えばそれだけなんだけど、そのタイミングで「Tesla、Model XとModel Sの生産終了」というニュースを目にした。
エンジニアとして、このガジェットに触らずにいるのはまずいな、と思った。
Velarと同じく、今回も4年以上落ちてる中古車で探し、たまたま軽井沢で状態の良いP100Dを見つけたので、
2017年式のTesla Model Xを購入した。
走行距離3万キロ。新車価格1,800万円の半額以下。
納車からおよそ1ヶ月、まだ500kmほどしか走ってないが、とりあえずファーストインプレッションの記録。
良かったところ
加速が異次元
聞きしに勝る、とはまさにこのこと。
「0-100km/h加速が2.9秒」、数値的に速いのは購入前からわかっていた。
実際には数値以上の体感速度。
何より、モーターだから変速がない。
ずっと1速のまま、息継ぎなく、無音で伸びていく。
NAの感じとも、ターボの感じとも、何もかも違う。
車体重量が2.7tあると浮くような感じもない。
というか、2.7tあるのにこんな加速度、おかしいだろ。
不思議すぎたので、Web上からいろんな車のシャシダイ実測データを集めて分析した。
高速の合流路線は半分も要らない。
同乗者には「頭をヘッドレストから離さないでね」って絶対に言わなきゃいけない。
万一、ブレーキが効かなかったら一瞬で死ねる。
自動ドアが便利
Model Xと言えば、ファルコンウイング。
確かにかっこいいけれど、それよりも「普通の運転席・助手席のドアが自動で開閉する」のが日常では圧倒的に便利。
乗り込んでブレーキを踏むだけで運転席のドアが閉まるし、
他のドアも車内から全て開閉できるから、初見で全く開け方のわからないドアでも文句を言われない。
さらに、EVは構造上エンジンがないので、外見以上に荷室が広い。
Velarと比べるとModel Xは外寸がひと回り大きくなったけど、車内空間はふた回りぐらい大きくなった印象がある。
維持費が軽自動車並み
納車のタイミングで車検を取り直したんだけど、税金等含めて7万円。
排気量 0ccだからね。
2017年式は「型番不明車」の扱いになるので任意保険も激安。
そして、気になっていた充電費用は、スーパーチャージャーで300km分の充電をしたら約3,000円。
つまり10円/km。
ガソリン価格を仮に150円/Lとすると、15km/Lの燃費と同等ということになる。
つまり、普通車より維持費が安い。
これが一番の予想外だった。
悪かったところ
でかくて曲がらん
全長5m超、全幅2m超、ホイールベース3m超。
駐車場では常に気を使うし、片側2車線の道路でもUターンを躊躇うレベルで曲がらない。
タイヤも22インチ。
冬タイヤをおまけでつけてくれたけど、そのタイヤを4本保管するだけで、かなりの存在感。
22インチのせいか、乗り心地はかなり固く、細かい段差も拾ってしまう。
Velarの、飛行機で巡航してるかのような乗り心地に慣れてたので、これもちょっとマイナスポイント。
ソフトウェアのアップデートが止まっている
2021年にマイナーアップデートがあったせいか、それ以前のモデルは現在はアップデート対象から外れている。
現実的に困るところはまだ見つかっていないけど、5年分のソフトウェアの進化の恩恵にあずかれないのは痛い。
現行のModel Yなどと比べてセンサー類が充実しているのに、ソフトウェアが追いついていないのでオートパイロットの精度はおそらく現行車種の方が優秀。
たとえば、オートパーキングやサモン(遠隔移動)を使うと、停止状態でハンドルを回す、いわゆる「据え切り」が多用される。
ただでさえ車重のせいでタイヤの消耗が激しいのに、そういう賢さがついてきてない感じがある。
ハードウェアとしては今でも十分素晴らしいのに、ソフトウェアで陳腐化していく、というのはEVならではの老い方。
賃貸だと自宅充電が難しい
購入前にスーパーチャージャーが10km圏内に3箇所あるのを調べていたので、実用上は困っていない。
スーパーチャージャーなら30分もあればほぼ満タンにできるので、買い物でもしてたらあっという間だ。
ただ、やっぱり自宅で充電できたら良いのにな、とは思う。
寝てる間に充電にできれば、30分の待ち時間もなく、充電費用もさらに抑えられる。
ところが、首都圏でも充電設備のある賃貸物件を探そうとするとなかなか難しくて、
敷地内駐車場があって、かつ大家から充電設備工事の許可が取れないといけない。
アパートやマンションではほぼ無理で、戸建てを借りるしかないが、車体がでかいので昨今の狭小都市型住宅だとそもそも駐車できない問題もある。
所感
移動手段として完成されすぎてる。
内燃機関の「楽しさ」、エンジン音も、シフトチェンジの駆け引きも、なにもない。
ただし、移動手段としては異様なほど完成されている。
完璧に無音で、花粉症シーズンに嬉しい対生物兵器モードもあって、エンタメも充実。
「エンジニアとしてこのガジェットに触っておくべきだった」という直感は正しかった。

