Sindoh 3DWOX1を買った

Sindoh 3DWOX1


何気に、このblogは3Dプリンタ関連のアクセスが多いので。

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3Dプリンタ、選び直し

2016年にXYZprintingのダヴィンチ 1.0 Pro 3in1を買って、かれこれ5年近く遊んできた。
当時は下記5点を重要と考えていた、

  1. ABSが使える
  2. 他社製フィラメントが使える
  3. 造形サイズが大きい
  4. ソフトウェアが使いやすい
  5. メンテナンス性が良い

けれど、状況の変化もあって少し考え方が変わったので、仲良しのファブラボ神田錦町の梅さん&井上さんに相談して、Sindoh 3DWOX1を購入した。
(ダヴィンチは知人が3Dプリンタ始めたいというので格安で譲った。)

5年目の3Dプリンタの選び方

5年前と変わらず、ちょっとした治具を作ったり、電子回路の外装を作るのがメインだけど、
子どもができたことでおもちゃを出力することが増えた。
ダヴィンチを買う前からやりたかったミケランジェロなどの彫刻作品のミニチュア作りもけっこう試した。
その結果、3Dプリンタを選ぶポイントが変わった。

  1. ABSが使える → ABSが使える(変わらず)
  2. メンテナンス性が良い → メンテナンスフリーが良い
  3. 造形サイズが大きい → 15cm角、なんなら10cm角でも良い
  4. 他社製フィラメントが使える → 他社製フィラメントも使えたら嬉しい
  5. ソフトウェアが使いやすい → 他社製スライサーが使える

1. やっぱりABS

5年で大きく変わったと感じるのは、各社がPLAを進化させてきたこと。
PETGやTPUなど、いろんなフィラメントが発明されてても、
見た目の綺麗さと手軽さはPLAがダントツで一番。
出力した後に何も加工しないなら、もうPLAで出すのが一番良い。
ところが、外装やおもちゃを出力する場合、加工しないことがあんまりない。
まず、積層痕をやすりがけしたい。
塗装するなら下地を出したい。
ギリギリの大きさで穴を開けておいて後から部品を填め合いしたい。
こうなるとやっぱりABSで出力するケースが圧倒的に多い。

2. メンテナンスフリー

メンテナンス性が良い筐体としてダヴィンチを選んだつもりだったけど、
前述の通り、この5年でPLAでの出力がメインストリームになったことで、
箱なしタイプの3Dプリンタが安価に出回るようになった。
そうすると、そのユーザも増えてWeb上のノウハウがどんどん増えていくし、
そういったユーザ向けにサードパーティの代替部品や改造品が出回るようになって、
「メンテナンス性」で言ったら、メーカー品の方が不利になった。

ところで、3Dプリンタを触ったことがない人には伝わらなくて、
触った人にはとても共感してもらえる「綺麗に出力するまでが大変」である。
「これ、出力するのに3時間かかったよ」と言った場合、プリンタがプリントのために動いていたのが3時間であって、
その前にベッドの水平出しやノズルの掃除や、はたまたフィラメントの管理まで考えたらゆうに2倍以上の時間がかかってる。
その準備作業も「DIYしてる感」があってそれなりに楽しいといえば楽しいけど、
「パッと出したい」となると、もうお仕着せで良いからとにかくパッと出したいのであって、
そもそも一回出力するごとに数時間かかるのが常なので「夜寝る前に仕掛けて、朝には出来上がってる」を期待したくなる。

3. 造形サイズはほどほどで良い

「フットプリントで20cm正方が出せる!」と意気込んでダヴィンチを買った。
けど、出したことない。
15cm立方ぐらいまでは挑戦したけど、結局のところ、積層って原理的に大きなものに不向き。
途中で失敗したらやり直すのも大変だし、仮に上手く行っても強度が出ない。
例えば、電子回路の外装を考えても、10cmを超えたら、秋月かマルツで既製のケースを買ってきて加工する方が全然早い。
どうしてもオリジナルでしか作れない、なら、もうCNCを買ってきた方が良い気がしてる。

4. 他社製フィラメント、あんまり使わない

メンテナンスフリーのところでも触れた、「綺麗に出力するまでが大変」って話で、
ちょっと安く買ってきたフィラメントにあれこれ振り回されるぐらいなら、
純正フィラメントで時間を買う方が楽。
カーボンフィラメントとか木質フィラメント、軟質フィラメントとか色々試してみたいけど、
それを梅さんに相談したら、「1台しかない環境であれこれ試すと故障したとき大変なので、特殊フィラメント用に安い3Dプリンタ買う方が圧倒的にいいですよ」というアドバイスを受けて、
もう心の底から納得したので、メイン機には安定と安心を求めることにした。

5. 他社製スライサーは使いたい

XYZprintingとSindohの純正ソフトウェアしか触ったことがないけど、
微妙に痒いところに届かない場面はあって、「充填方式変えたいな」とか「この部分だけ、リトラクション変えたいな」みたいな。
たぶん、自分がソフトウェア側の人間で、たまたま本業でG-codeをガッツリ触る案件も経験したから、
前述のメンテナンスや他社製のフィラメント的なハードな部分で頑張るより、制御側で頑張りたくなるってのもある。

Sindoh、すごい

という観点をファブラボの梅さんに伝えて、お勧めしてもらったのがSindoh 3DWOX1
正直、相談するまではSindohを知らなくてZortraxから選ぼうと思ってた。
これが、ダヴィンチで頑張ってた人間からすると隔世の感を禁じ得ない。

  1. ABS、当然使える
  2. メンテナンスフリー
  3. 造形サイズは210x200x195mm
  4. 他社製フィラメント用のOpen Materialモード
  5. 他社製スライサーとしてCuraSimplify3Dを公式サポート

特に、筐体内のカメラで遠隔リモート監視できるのと、フィラメントの自動ロードにびっくり。

そして、使ってみて感じるマグネットベッドの便利さ。
これも3Dプリンタあるあるだけど、「ベッドに定着しないとお話にならない、定着しすぎると取り出せない」問題、
定着させすぎる方向でガンガンやって良い。

ちなみに、Sindohの純正ソフトウェアはこんな感じだけれど、オーバーハングの分析機能や最適接地方向の計算機能がついてて、とても便利。

いざとなったらCuraも使える安心感よ。

TPU、詰まった

1点だけ、他社製フィラメントも使えると噂のOpen Materialモードについて。
「メイン機には安定と安心を求める」と言いつつ、やっぱり特殊フィラメントも試したくなっちゃったので、TPUを食わせてみた。
案の定、詰まりまして。
しかもTPUだったから、引き出そうにも伸びて伸びて全然取れなくなりまして。
仕方ないから分解したよ。


メンテナンスフリーを謳う製品をメンテナンスする時が一番大変と痛感しました。

ここまで分解した経験から、公式サポートページにある対応をやって無理だったら素直に工場に送り返した方が良いです。
特にこれ。

自分は分解した挙句、この手順で取り出せるところまでしかアクセスできなくて、
それでもなんとか解決したから運が良かった。
もう二度と3DWOX1で特殊フィラメントは試さないと思う。
分解したおかげで「ちゃんと作ってあるな」と実感できたのは良かった。

あると便利な道具たち

以前にも3Dプリンタと合わせて買いたい道具たちを紹介したけど、5年でこなれてきたので、今は下記の5つが3Dプリンタ箱に入ってる。

信頼と実績の3M。
マグネットベッドのおかげで定着させすぎて問題なくなったので、これでガッツリ定着させる。

プラットフォームシートを貼る前の脱脂用。
というか、カメラのメンテ用に買ったやつを併用してるだけ。

安いスキージー。
スマホの保護シート貼ったりするときにも便利。

デジタルでもっと精密なノギスも持ってるけど、結局これを一番使う。
電子部品を図るときに金属製じゃない方がなんとなく安心。

積層痕を消すときに。
ドリル用紙ヤスリや軸付砥石でガーってやっても手でやるのとあまり変わらないことに気づいた。

所感

見る人が見たらわかるように、#3DBenchyをあえてこの角度で。
これ、Sindoh純正PLAフィラメントで、デフォルト設定のまま出力して無加工です。

この均一な定着っぷり、オーバーハングの滑らかさ、糸引きの少なさ、
…追い込むスタート地点がここからで良いってやばいですよね。
Sindohはちょっとお高いですけど、
プリントすることが目的じゃなく、プリントしたものが目的ならオススメです。
今からだと3DWOX2Xの方が良いのかな?

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